参加したイベントや交流会等で、経営者や管理職の人たちと人財に関してお話しする機会も多く、その際の話題について書くシリーズの第2回目は、「活躍してくれる人財を採用したいのに、そのような人財は少ない」についてです。
「少子高齢化や人口減少で、そもそもの対象数が減っているからじゃないか?」とか、「苦労しなくても生きていける世の中だし、働き口もいっぱいあるから、そこまでして働きたくないんじゃないか?」なんて話をされる方もいます。「採用する側の求める要件が狭すぎたり、はたまた期待する内容が多すぎるのか?」等のいろんな観点も出てきます。皆さん思うところがいっぱいあるものです。
「一番大きな要因は、今も昔も採用する側と働く側の両者の視点がまったく異なる方向を向いているから。」と聞いた時に、「あ、それだ!」と感じたので、今回はその内容について書いてみます。特に、経営者や幹部職のいわゆる上層部や使用者層と呼ばれる人たちが仕事において求めている内容と、その下で働く従業員のいわゆる労働者層が求めている内容との乖離が大きく、見ている方向が全く違うのだそうです。これ、目からウロコでした!
そもそも使用者層の人たちは、『会社の売上や利益等の業績』に意識が向いています。そのことばかり考えているし、日々頭を悩ませているという人も多いです。経営者や幹部職というのは、まずは会社が儲けて事業継続できることを求められている役割であり、そこに意識が向いていないとか結果が伴わなかったら、(本来はもっとシビアに)落第となるポジションでもあります。『会社の売上や利益等の業績』が自身の成績表となるので、仕事において求める第1位や上位にくることは自然と言えば自然です。
では、一方の従業員(労働者側)はどうでしょうか?多くの人は何を求めて働いているのか?という話で、残念ながら、使用者層が回答を期待したい『会社の売上や利益等の業績』なんてものはまず出てこず、ここに大きな方向性の違いがあると。
ほとんどの人は、給与や賞与のこと、取得できる休日のこと、自分のやりたい仕事ができるかどうかなど、自身が手に入れられる、受け取れる内容(ある意味で“自分の権利”)に関することが優先で上位を占めると。そして、やっと何番目かに『会社の業績』も出てきますが、ここで「なんだかんだ言っても、会社のことも考えてくれているじゃん!」と安易に安心してはいけません。
それは前出の「自分の給与や休日等の手に入れたいコトが、確実にかつ安定的に受け取れる業績であって欲しい!」という願望・期待の意味で出てくるのです。
うんうん、これは会社に雇われて働く側として持つだろう視点として納得ですし、何を隠そう私もサラリーマン時代はそう思っていました。働くために生きているのではなく、生きていくために働いているので、働いて得られる自分の給与や、今度の休日の過ごし方を大切にするのは自然なことです。
さらに言えば、「自分も頑張って会社の業績を何とかしなければ!」という自発視点の人は少なく、あくまで「会社(経営者や上司等の自分以外の人)が頑張って業績を出してくれて、自分の給与や雇用等の待遇は保障されるのか?」という受け身視点の人の方が圧倒的に多いのだとか。これをサラリーマン根性だという表現もありますが…。
その両者の違いがあるので、「会社の業績を向上させてくれる活躍人財が欲しい!」と願う採用側と、それを目指していないというか違うことを求めている働く側(求人に応募する側)との間にある大きな乖離はなかなかに埋まらない。これは困った…。
たとえ採用する側が両者間のギャップを頭では理解していたとしても、「今ある安定や待遇にぶら下がりたいと応募してくる人を採用してしまった場合、そもそもの会社という屋台骨自体が傾くことになってしまうので、採用したいとは思わない。次に、会社の業績向上に取り組んでくれる人財を採用したいけど、現実はそんな人財は少ないので贅沢も言ってられない…。」という会話になるのです。
昭和の日本を代表した産業や大手企業が没落していくとか、没落からなかなか回復できない要因の一つに、このサラリーマン根性だとか、ぶら下がり人材が増えすぎて、もう抱えきれなくなったことがあり、さらにはその状態をドラスティックに変革できないことが挙げられます。それを目の当たりにして危機意識を持つ会社ほど変革していますし、活躍してくれる人財を求めますが、でも採用しようにもなかなか『自社が求める活躍人財』と出会わない、採用できない現実もあるのです。
そうなると余計に、「欲しい!採用したい!」との願いは増すばかりですし、ここに、冒頭の多くの経営者や幹部職などが言う、「活躍してくれる人財を採用したいのに、そのような人財は少ない…」という状態や話題が生まれます。そして、「そんな人財はどこに居るのかねぇ?居たらすぐに採用したいから、誰か紹介してよ~」と、毎度おなじみの会話が続くことになるのです。
いや、そもそもその意識を持った人財自体が少ないんですって…
