新しく仲間となってくれた人財が、早期に職場へ馴染んで定着してもらい、戦力となってくれるように。また、早期離職とならないように取り組む企業は増えており、飛行機や船に搭乗・乗船することになぞらえて、オンボーディングと言ったりしています。
入社前に抱いていたイメージと入社後の現実に、認識のズレやギャップ、違和感を感じると、それが引き金となってお互いに不協和音が生まれます。また、そのギャップが解消されない、されそうにないと思われてしまったら、離職の道を歩むことになります。
そこで、新卒やキャリア入社者の受入計画を作成したり、メンターを選任したりと入社者をサポートすることで、人間関係を構築しやすくしたり、仕事を進めやすくしたりして、早期の定着や戦力化に加えて、早期離職に努めていきます。
これ、大切な取り組みですね。せっかく採用できた人財に、活躍してもらう前に辞められてしまっては、また改めて採用活動から再開しなければなりません。また、自社を選んでくれた入社者にとっても同じで、改めて転職活動を再開しなければなりません。お互いが望んでいた結果ではありませんね。
では、このオンボーディングですが、人事だけが担当するのでもなく、配属部門の上司や同僚だけで行うものでもなく、社内のタテ(上司)・ヨコ(同僚)・ナナメ(関連部署)の関係者が皆で連携して行うことが理想というか、皆で取り組むのが良いとされています(できるかどうかは別として)。
どのように進めていくか等の全体の設計や仕組み等を整備していくのは人事管轄で、実施するのは配属部門だと役割分担されていることも多いと思われます。ここでつい忘れがちというか、意外に苦手とされている人も多い内容で、とても重要なポイントがあります。それは、制度の設計や仕組みの話といった大きな話でもなく、とても単純なことで、『本人に期待しているコトを、本人へ直接かつ明確に伝えて、確認する。』ということです。
え?そんなこと?
と思われるかもしれませんが、意外にも伝えていない(伝えたつもりになっている)ほうが多いのです。これは何も対入社者に限った話ではなく、すでに入社して数年が経っている従業員に対しても言えることで、「私は普段から言っている(つもり)から、相手はわかってくれている(はず)」という思い込みだったり、「面接の時に説明したから、入社者も理解してくれている(だろう)」という願望だったりします。
相手はこちらが意図したことと違った理解をしているかもしれません。確かにその時は聞いていたのかもしれませんが、忘れているかもしれません(他のことは覚えていても)。そういえば、運転する時は「だろう運転」ではなく、「かもしれない運転」が大事って習いましたね。こんな望んでいないことになる前に…
いくら受入計画通りにプログラムを進めたとしても、いくら周囲がサポートをしたとしても、『何を期待されているのか?なぜそれを期待されているのか?また、いつまでに、何を、どの程度できるようになったら良いのか?』といった、目的や目標とその到達点等が共有されていなければ、どう考動したら良いのかも描けませんし、何をもって評価される(された)のかも見えません。そこにお互いの認識ズレやギャップ、違和感といった不協和音が生まれてくるのです。
そして、お互いで共有できたその次は…
やってみせ、言って聞かせて、させてみて、誉めてやらねば、人は動かじ
話し合い、耳を傾け承認し、任せてやらねば、人は育たず
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず
後世に語り継がれる名言ですね。
新しく海外から入ってきた考えや取り組みかのように横文字なんて使わなくても、以前から日本にあった教えや取り組みなんですよね。あぁ…、実践するは難しけり…
