ダイレクトリクルーティング、特にスカウトサービスの浸透や拡大に伴って、求職者側の行動にも変化が出ていまして、その内容や影響についても触れてみます。
スカウトサービスには『転職を考えている転職顕在層がいる』だけでなく、『今すぐの転職は考えていないけど、自分の市場価値を知るため等でとりあえず登録している潜在層も増えている』ということです。TVCMでも、「今すぐ転職を考えていなくても、今の自分の市場価値を知ろう」なんて感じで、登録促進をやっていますよね。
企業から何通もスカウトメールを送っているが、応募もなければ返信すらない…。人事の採用担当者だけでは限界もあり、現場の技術者や研究者からも直接スカウトメッセージを送ってもらう等の工夫も行っているが、ほんの数%の返信率だったりするので、労力に見合わないと諦めてしまうなんてことも起きます。
「今はまだ転職を考えていない潜在層へ早期にアプローチできる!と言われても、今すぐ採用したいから利用しているんだけど…」という採用担当者からしたら、これまた「タレントプールが必要なんです!」なんて言われても困ってしまうのではないでしょうか。
スカウトサービスを利用する場合、この転職顕在層と潜在層が混在しているという点を忘れてはいけませんし、その前提で利用しなければなりませんが、これまで攻めの採用活動をやったことがない担当者になればなるほど、「なんだよ~。スカウトって思ったほど効果が出ないじゃないか~!」とか、「なんやね~ん。めちゃくちゃ手間がかかって面倒くさいやないかい!」となるのです。
ただ、企業側への明るい兆しもありまして、求職者側もスカウトサービスへ登録することが一般的になってきて、転職エージェントと呼ばれる人材会社へ登録するよりも先に、スカウトサービスへ登録する人が増えています。人材会社に相談するとか登録するって、何かと時間も労力も必要なので、利用ハードルが高いと敬遠する人も多いのです。
これが意味するのは、以前までは転職を積極的に考えている顕在層にアプローチしたければ、その顕在層を抱える人材会社へ依頼するという流れだったのが、採用担当者が自らスカウトサービスを利用することで、ダイレクトに顕在層へアプローチできるチャンスが増えていることを意味します。
また、まだ転職を考えていない段階でもスカウトサービスへ登録している潜在層も増えているのですから、“本人はまだ転職まで考えていない時期かもしれないが、自社に居てくれたら良いと思える候補人財と、転職活動を始める前の早期に接点が持てる”という可能性も出てきます。タレントプールというやつですね。
なお、まだ転職を考えていない潜在層が、「転職しようかな…」と顕在層に変化するタイミングに、そのスカウトサービス内でどこかの企業から送られてきたダイレクトメッセージに反応して、そのまま転職しちゃっているケースも増えているのです。そう、人材会社へ登録することもなく、転職する人が増えているのです。
この変化は人材会社からしたらピンチでもあって、転職を考えている人が人材会社へ相談しに来る数が減るのです…。
採用マーケットも少しずつ変化する中で、皆さんはどのように戦っていきましょうか?
