意思決定するまでの時間

前回は意思決定することについて書きましたが、今回は意思決定するまでの時間について書いていきます。

決める(意思決定する)までの時間が早い人もいれば、人よりも多くの時間が必要な人もいますが、意思決定するまでの時間は短く、早い方が良いのでしょうか?それとも時間をかけ、遅くても良いのでしょうか?

目の前に命の危険が迫っている等の緊急を要する場合は即断即決が求められますが、家を買うとかで大きな買い物をする場合は即断即決できる人のほうが稀で、むしろ熟考できる時間が必要なのではないでしょうか。意思決定するまでの時間がどうなのかは、その時の状況によりますね。ただ、多くの場合で時間的な余裕は少なく、『決断は遅いよりも、早いほうが良い(そのように求められる)』のではないでしょうか?

当社でも、多くのケースで意思決定するまでの時間が短く、早いことを望んでいますし、顧客からもそう望まれることが多いです。(もちろん状況による)。だって、早く実行に移して取り組んだ方が、失敗した場合でもやり直しできる猶予も生まれるし、成功した場合は他者より先に走り抜けることができるので、メリットがいっぱいあるのです。反対に、意思決定が遅くなって残り時間が減れば減るほど、やれることも限られてきますし、失敗を取り戻す猶予も少なくなる等のデメリットが増えてくるわけで。

では、意思決定するまでの時間を短くする、早くするにはどうしたら?

まず、意思決定するまでの時間が長いとか決断が遅い人の多くに共通するのですが、“迷っているとか悩んでいる時間が長い”ことが挙げられます。たまに、自分で決めなければならないのに意思決定すること自体を避けている人もいますが…。

あ、ちなみに『迷う』と『悩む』を一緒にしてはいけません!

『迷う』は、具体的な選択肢がいくつかある中でどれを選ぶか決めかねている状態であって、次のステップに移しやすい状態でもあります。一方の『悩む』ですが、「将来に何が起こるんだろう」とか「自分は何がしたいんだろう」等のようにそもそも答えがない、あるいは答え自体を自分で考え作り出す必要がある状況で、すぐに答えが出ず堂々巡りの思考になったり、今それを考えてもどうしようもないとかで、時間ばかりがいたずらに過ぎていくパターンとなり、この状況を苦痛に感じる人が多いのです。

多くの場合は、AにしようかBにしようかと悩んだり、何をしたら良いんだとあれやこれやと悩む時間が、他の人より長いことが原因なのですが、まずはこの違いを理解しておかないと、対処方法も異なるのですねー。

じゃ~、悩むことを止めたり、迷う時間を短くしたら良いんやろ?
なんや、そんなん簡単やん!

となりそうですが、ところがドッコイ、そうは問屋が卸さないわけで、これまた言うのは簡単ですが、誰しも実践するのは難しいのです…。それができたら苦労しないと。では反対に、意思決定するまでの時間が短く、早い人と何が違うのでしょうか?

ズバリ、考動が違うのです!

またこの考動か…となるのですが、事実なので仕方がないのです。もう少し具体的に言うと、迷ったり悩んだりする時間が短く、前に向かって動き出すまでが早い(=初動が早い)のです。

まずは、“意思決定するために必要となる材料集め”に動くのが早い。AにするかBにするかを決めるための材料とか、今それを考えなければならないかどうかを判断するための材料を早く集めるって感じですね。しかも、限られた時間内に、判断材料に値する質の高い材料を、可能な限り迅速に、たくさん集めるのです。そして、限られた時間や得られた材料等の制約条件の中で、考えながら動き、また考えながら動いてを繰り返して、少しでも短い時間で自分なりの解を出し、それを何度も繰り返し行っていると。

ところが、一方の意思決定が遅い人の多くは、まず着手するというスタート(初動)が遅いのです。例えば、「そもそも何をどうやったら良いかがわからない」等で、ところどころで動きが止まってしまう傾向も多く、まずは物事を小さく分解してみるというファーストステップが…とか、手を付けられそうな内容から一つ一つを前進させていくといった初期段階の考動が取れておらず、結果的にズルズルと時間を浪費しているために、差が出てくるのです。

物事を小さな単位に分解してみて、(できるかどうかは置いておいて)できそうかな~と思えることから、少しでも迅速に着手していくことで、これまでとは異なる景色が見え始めます。

それに、人間がすることなので、時には下した判断が失敗することもありますし、というかほぼ失敗ばかりが常です。「間違いは誰にでもある事で、成功よりも失敗が常なんだし、当たり前に起こること」を前提にした気持ちで進めることも必要です。そうしなければ、ダークサイド(暗黒面)はすぐ人間の弱い心の隙を見つけて攻め込んできますので。

たとえ失敗したからといって、次の意思決定や挑戦を避けることはせず、失敗経験からも何かしら自分の中に学びを得て、次の意思決定に活かしていけば、質も上がります。

また、何度も意思決定を繰り返す(量をこなす)ことで、次の意思決定の際の質向上や短時間化にも寄与していく好循環サイクルを生み出せるようにもなってきます。こんなところにも、『質×量』のこちらの記事の内容が関係してきます。

さらに付け加えるとしたら、意思決定するまでの時間が短く、早い人の傾向として、普段から何か気になったことはそのままにせず(浅い段階で終わらず)、調べたりしてもう一段深く考えて、自分なりに理解したり、答えを導き出している習慣があったりもします。日常的に思考するトレーニングになっているし、その習慣がある(クセ付いている)ので、いつの間にか自分なりの答えや見解、意見を短時間で出すことができるようになっていて、それがいざ意思決定するシーンで活かされていることも多いのです。

いきなり最初からできる人なんていませんし、一足飛びに試合やオリンピックには出られません。普段からの練習や習慣は大切ですし、日々の鍛錬の賜物ってことで、小さなことからコツコツと!ですね。

一緒に考動し、前進できる仲間が居る職場って、良くないですか?