エージェント(人材紹介)という手段

自社の採用活動において、エージェントと呼ばれる人材紹介会社へ依頼する企業は多いです。自社が求める人財を探してもらえて、推薦された候補者を選考できる点は非常に魅力的なサービスです。

でも、以下のように正反対の声が出るのも事実です。

エージェントに依頼したら、良い人財を採用できているので困っていない。
エージェントに依頼しても、良い人財の紹介がなくて困っている。

なぜエージェントに依頼しても、このような差が生まれるのでしょうか?

以前に『人材会社から、候補者の推薦が減っている?』という記事を書きましたが、今回はエージェントと呼ばれる人材紹介会社の内部事情に迫ってみます。

『エージェント』
1.代理人や代理店。または仲介事業者
2.国家の秘密業務で働く者。スパイ。

辞書検索してみると、こんな意味だと出てきました。もちろん、今回のエージェントは1の意味であって、2ではないですし、「コードネームは“黄昏”」とかだったらビックリです。人財を紹介してくれる「1」の意味のエージェントというビジネスは、日本では職業紹介事業と位置付けられていて、厚生労働省では、以下に貼り付けた画像のように定義しています。

求人企業側から見ると人財を紹介してくれる存在なので『人材紹介』となりますが、求職者側から見ると求人・職を紹介してくれるので『職業紹介』となると。で、その両者を仲介・斡旋している存在なので『エージェント』ですね。

詳しくは、厚生労働省(石川県労働局)のサイトがわかりやすく説明してくれていましたので参考にして頂きたいのですが、厚生労働省では『職業紹介』という求職者側の視点になっている点に、実はエージェントだけでなく、求人企業側である皆さんの採用活動においても大切な視点というか、重要なヒントがあるのですが、それはまた別の話となるので機会があれば改めて。

職業紹介とは、「求人及び求職の申し込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることをいう。」と定義されていて、求人者と求職者との間に立って、両社の雇用関係の成立を仲介してくれる存在です。

こんな人財を探しているから、紹介して欲しい。
こんな職を探しているから、紹介して欲しい。

求人企業と求職者のそれぞれから紹介依頼を受け付け、それぞれの代理人となり、マッチしそうなカップルを紹介(仲介)していく存在です。何やら、仲人や結婚相談所と同じようです。就職と結婚の違いはあれど、双方を仲介する点では同じですね。

ここから生まれるのはベストマリアージュだけとは限らず、お互いに食事しながら話をしてみたけど合わないね、となることもあります。仲介者からお相手の紹介がない…という場合もあるでしょう。

ここで、結婚相手や彼氏彼女を探しているのに相手が見つからない場合だと、周囲から「相手に求める条件が高すぎるんじゃないの?」みたいに言われたりしますが、自分の求める内容と相手が求めている内容に一致点がなければ、仲介者はそれぞれに相手方を紹介することもないので、お互いに出会うこともなければ、その後に合意することもないのです。「良い人だから一度会ってみなよ~」のようなおせっかいというか、背中を押される会話になる場合もありますが、これは、採用・就職でも同じ現象が起きます。

求人企業と求職者の間を仲介する立場であるエージェントは、多くの求人と求職を扱っていますが、求人企業の求める内容と求職者が求めている内容に一致点がなければ、求人企業に求職者を紹介することも、求職者に求人を紹介することも叶わないのです。

いくら求人企業が求める求職者が存在したとしても、その求職者が求める内容の求人ではない場合、求職者には振り向いてもらえず、応募すらしてもらえません。もう少し言えば、エージェントがその求職者に対して、ご本人の求めていない内容の求人を紹介し続けると、求職者からの信頼を失い、去られてしまうことにもなるので、エージェントとしても積極的にはなれません。

さらには、今は人手不足であり、求職者数より求人数が多いとなると、エージェント側でどう頑張っても、求人企業からの要望には応えられず、候補者を推薦できないないケースの方が増えてきます。

その結果、

エージェントに依頼したら、良い人財を採用できているので困っていない。
エージェントに依頼しても、良い人財の紹介がなくて困っている。

といった差が生まれてくるのですが、エージェント内部で何が起きているからその差がさらに拡大していくのかについて、もう少し深く入り込んでみます。が、それはまた次の記事で!