「〇〇の経験が何年以上」という条件を工夫した話

今回は採用のQCDの「Quality(品質)」に関する内容ですが、採用したい人財に求める経験として「~~の経験が3年以上」等と設定することについてです。採用のQCDについては、こちらの記事をご参照ください。

「~~」の部分には、営業や製造等の職種や経験業務が入ることが多く、「新規営業の経験が3年以上」等と設定するイメージです。3年以上とかの年数については、1年でも5年でも構いませんが、なぜにこの3年という数字はよく登場するのでしょうか?「石の上にも3年というので、3年は我慢できているかどうかを見てるんだ!」なんて話でしょうか?誰か教えてください。

以前、当社が採用代行に入らせてもらっている顧客の製造部門マネージャーと、今回採用したい製造オペレーター職に求める経験について、こんなやり取りをしたことがありますので、事例として挙げてみます。


当社:「今回提出頂いた求人募集の社内申請書には、“必須要件として、〇〇の製造経験が3年以上”と書いてありますが、なぜ3年なんですか?」

顧客:「3年くらい従事していると、〇〇の製造に関する基本的なプロセスを何回か回していて、一通りはできているだろうから。」

当社:「なるほど。もう少し具体的に教えてください。“〇〇の製造に関する基本的なプロセス”とは、どんな内容の業務をやっていれば、基本的なプロセスを経験しているとなりますか?」

顧客:「例えば、△業務や□業務をやっていることかな。●業務までやっている人だったらさらに助かる。」

当社:「では、△業務と□業務の経験は必須で、●業務は経験あったら良いけど、なくても良いよということですか?」

顧客:「Yes.」

「〇〇の製造経験」を、「△業務と□業務の経験は必須だけど、●業務の経験があればバンザイ大歓迎」へと書き換えて。( ..)φ

当社:「では、△業務と□業務を3年以上経験していない場合は、書類選考で落とす(面接は実施しない)、という基準でOKですか?」

顧客:「いや、必ずしも3年以上とは言えず、“良さそうな人”であれば3年未満でも面接する可能性はありますね。」

当社:「“良さそうな人”とは、具体的に何か基準みたいなものはありますか?人柄の事ですか?」

顧客:「あ~、え~と。周囲をまとめていけるような、リーダーシップがある人かな。」

当社:「周囲をまとめるというのは、リーダーや班長などの立場でまとめた経験がないとダメですか?それとも、採用時点ではリーダーシップがありそう(周囲をまとめていけそう)ならOKという感じでしょうか?」

顧客:「チームや班をまとめた経験がなくても、面接してみて、まとめていけそうな人であればアリだね。早ければ1年後くらいにそうなってもらえそうな人を採用したいけど、入社してすぐ班長をやってもらうわけではないから。」

当社:「では、応募書類から△業務と□業務の経験が確認できて、面接で周囲をまとめていけそうなことが確認できれば、採用する可能性があるわけですね。まずは、△業務と□業務の経験があれば書類選考して面接するかどうかを決める、ということでOK牧場?」

顧客:「OK牧場!」

「3年以上」の年数も消して。( ..)φ


簡易再現VTRは以上ですが、今回の事例のように「〇年以上」等と書いてある場合、人によっては「自分はその経験年数はないから、応募しても落とされるだろうな…」と、3年等の数字が独り歩きして応募されないこともあります。採用する側としても、あくまで目安として3年という数字を書いただけで、1年や2年の経験であっても可能性を感じたら採用することもあり、絶対の基準ではないことも多いです。

こんなふうに、「〇〇の経験が何年以上」という書き方から変化したお話です。
つたない内容ですが、要件定義の際の参考になれば幸いです。